帯状疱疹闘病記①~何も飲み込めない!突然の嚥下障害 初期診断は扁桃炎~

頭を抱える男性

数分前まで食べたり飲んだり出来ていたのに、急に飲み込めなくなったら? しかも、症状がなかなか周りに伝わらないという状況に陥ったら?

このあと、どうなってしまうのか? 治るのか? どうして、急に?
計り知れないほどの不安と恐怖に襲われることでしょう。

凸なべ
ども!「元医療従事者の面目躍如!」とは行かなかった凸なべです。

 

父が突然、何も飲み込むことが出来なくなるという症状に見舞われました。父はトンデモない恐怖に襲われていたことと思います。

ですが、その聞いたこともなったことも無い突然の症状に、父に起きていることをきちんと把握しようとせず、自分が経験したことのある症状に当てはめようとしてしまいました。なるべく大したことないことにしたい気持ちが大きかったからかもしれません。「そんな大袈裟な。」みたいな感じで。

 

結論から言うと、この突然の嚥下(えんげ)障害(飲み込めなくなる症状)は帯状疱疹(たいじょうほうしん)によるものでした。

帯状疱疹というと、多くは身体の左右どちらかにでる水疱(水ぶくれのような発疹)と強い痛みが特徴的ですが、発症した場所によっては、嚥下(えんげ)障害(飲み込めない症状)が出ることもあります。

父も確定診断までには、飲み込めなくなってから1週間ほどの時間を要しました。帯状疱疹は後遺症の観点からも、早期の治療開始が重要です。このような症状が出た場合、帯状疱疹の可能性もあるかもしれません。早く原因がわかって治療を開始できれば、後遺症を残さず治る可能性もあがるので、誰かの役に立つことを願い、一例として書いていきたいと思います。

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右耳と喉(のど)の痛み

急に飲み込めなくなるという症状が発症する日の前日。父は風邪の症状を訴えていました。

  • 喉(のど)がちょっと痛い
  • 微熱:37.2℃
  • 寒気までは行かないけど、ザワザワする感じ
  • 鼻水・鼻づまりはない
    ※父は鼻は大丈夫と常に言うが、周りから見ていると鼻をかむ頻度も高いし、鼻づまりっぽい声の時も多いと感じています。
  • 耳が詰まったような感じで、いつもより聞こえづらい
  • 喉(のど)に異物感
  • 右耳の外側を触るとピリピリとした痛みがある

 

風邪かな、って感じですよね。
父は鼻をかむときに思いっきりかむので、耳が詰まったような感じなのは鼻を勢いよくかみ過ぎなんじゃないかと思ってました。また、のどの異物感はツバを飲み込むと一瞬下がって、また戻ってくる感じということだったので、これまでの凸なべの経験から痰(たん)が溜まっているか、ヒステリー球(咽喉頭異常感症)かなぁって思ってました。

咽喉頭異常感症いんこうとういじょうかんしょう

咽喉頭異常感症はヒステリー球とも呼ばれ、喉につかえやしめつけ感、異物感などの違和感を感じる病気です。喉に炎症や腫瘍などの病気がなく、喉の過敏性や貧血、自律神経失調症、そして鬱病などの心因的なものが関係しているといわれています。

引用:メディカルノート

凸なべは豆腐以下のメンタルの持ち主なこともあり、このヒステリー球を何回か経験しています。なので、父の症状を聞いたときもヒステリー球が最初に浮かびました。

右耳のピリピリした痛みについてはよくわかりませんでしたが、見た感じは赤くなっていたり、傷が出来ていたりする様子もなし。

 

この日は、あいにく自宅に風邪薬がなかったので、解熱鎮痛剤を飲んで就寝。食べ物や飲み物を飲み込むことに関しては、この日は全く問題ありませんでした。

凸なべ父の概要

年齢70代。仕事はリタイア済みで、これと言った趣味はなく凸なべ同様、超インドア派。
これまでの病歴は、40代で心筋梗塞一歩手前の狭心症で、心臓の手術(冠動脈バイパス術)を受けています。現在は高血圧で通院・内服治療中です。

心臓の手術をキッカケに禁煙。お酒はほぼ飲まない。
1年に1、2回は風邪を引く。3年に1回程度しか風邪を引かない凸なべや、5年に1回程度しか風邪を引かない凸なべ母に比べると、なかなかの頻度で風邪を引いているイメージ。でも、本人は認めない笑。

飲み込めない! 突然の嚥下(えんげ)障害

翌朝、のどの痛みもなく体調も昨夜より良く過ごしていましたが、夕方頃から微熱とだるさ、頭の重たい感じを訴えていました。
ですが、父は風邪を引こうがめまいがあろうが、ぎっくり腰になろうが、胸焼けしていようが、ご飯は食べるんです。「そんなもんは食べれば治る」という考えの持ち主。

20年以上前に心臓の手術を受けたときも、手術翌日からICUで出された食事を完食していたそうです。ナースがお膳を下げようとしたところ「まだ、食べてるんですけど」と言って驚かせた武勇伝を何度も聞かされました。

なので、この日の夕食も白飯、水ギョーザなどをいつも通りに完食。ただし、白身魚のフライはのどに引っかかる感じがするといって食べられず。

 

いつもとそれほど変わらない夕食を終えた18時ころのことです。

夕食後の薬(いつも飲んでいる血圧の薬)を飲もうとした父が、突然変なことを言い出しました。

『飲み込めない!!』

 

そんなにのどが痛くなったのかと思いました。痛みで錠剤を飲み込むのがツラいということだと思ったんです。
ですが、錠剤が飲み込めないのではなく水も飲めない、と。

凸なべ
今までご飯食べてたのに、急に!?

 

『俺はのどが痛くたって、ご飯も食べれるし水も飲めるんだ! そういうことじゃなくて、飲み込めないんだ!!』
テンパっているのも手伝って、まったく状況が伝わってこない。

風邪でのどが痛くて飲み込めないってことじゃないの? って思ってました。それ以外に飲み込めなくなる経験がなく、他の状況が思いつきませんでした。
飲み込めない症状以外は、熱っぽさがある程度だったので、とりあえず落ち着いて様子を見ることにしました。

 

21時ころ、のどの痛みが強くなっているとの本人談。とても飲み込めるような感じはしない、のどが腫れぼったい感じがする、と。
とりあえず、早めに寝て明日病院に行くということになり、就寝。

 

23時ころ、とても寝ていられないとの訴え。ツバも飲み込めないし、寝ていたら気持ち悪い。のどが腫れあがって塞がってくる感じがする。のどの奥にずっと何かがある感じがする。

何かのアレルギー症状かとも思ったのですが、のどに違和感はあるが息苦しさはなし。嘔吐や発疹などもなし。
でも、もしアレルギーや扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう:扁桃腺の周りに膿が溜まる症状)とかだったら、重症化したら気道が塞がって息が出来なくなることもある、と昔取った杵柄の知識を総動員。

凸なべも不安になり、夜間急病センターを受診することにしました。

夜間急病センターへ 初期診断は扁桃炎

夜間急病センター。この日は23時までは耳鼻咽喉科のドクターがいたようですが、一足遅かった。内科のドクターに診察して頂くことになりました。

到着時、熱はなく36.5℃。血液中の酸素濃度(SpO2)は97%。とりあえず、喉(のど)が腫れあがって息が出来なくなるような状態では無さそうなので一安心。
ただ、血圧が高く「190/110mmHg」。でも、これは血圧の薬が飲めていないからだろうという判断でした。父は朝方の血圧が高くなりがちだったので、血圧の薬は夕食後のみに内服しています。ですが、夕食後に急に飲み込み障害が出現したので、この日は全く血圧の薬を飲んでいない状態でした。それにしても、1回飲まなかったくらいでこんなに高くなるものなのでしょうか。

でも、具合も悪いし、突然の症状にストレスもかなりあるでしょうし、しょうがないんですかね。特に血圧に関しての処置は不要という判断だったようです。

ドクターの診断結果としては「扁桃腺が赤く腫れているので、飲み込むのがツラいんでしょう。扁桃炎の状態です。薬が飲めないので、点滴して行ってください。」ということでした。

夜間急病センターは、凸なべもこれまで2回ほどお世話になっていますが、翌朝の病院の診察時間までの症状をひとまず和らげることがメインですから、アッサリしたものです。ですが、この様子だと緊急で治療が必要な病状では無さそうなので、ちょっとホッとしました。

この日は、解熱鎮痛剤の点滴をして帰宅することになりました。

症状を伝えるのって難しい

自分に起きている症状を正確に伝えるのって難しいですよね。結局のところは、本人にしかわからない部分が多いですし。

今回も数日前から風邪っぽくて、のどの痛みがあった。何も飲み込めない状態になった。この症状を聞いたら、たいていはのどの痛みで飲み込めないと思いますよね。さらにのどが赤く腫れていたら、「ああ、間違いないな。」ってなりますよね。先入観を持たないで、人の症状を把握するって難しいことです。

 

きちんと伝われば必要な検査が行われて、診断がスムーズになる場合もあるので、できるだけわかりやすく伝えたいところではありますが、いざドクターの前に行くと言い出せないこともありますよね。 忙しそうとか、適当にあしらわれたりとか、ドクターによっては完全に流される場合もあったり……。夜間急病センターの医師に、そこまで求めるのは酷かもしれませんが、ちゃんと話を聞いてくれるドクターは、それだけで神に見えます。

 

扁桃炎と診断された父。解熱鎮痛剤の点滴で少しはのどの違和感が和らいだようですが、ほとんど眠ることが出来ずに朝になるのを待っていました。

凸なべも眠れず(小心者なもので)、朝までひたすら検索! そして、朝イチで病院を受診することにしました。

 

帯状疱疹闘病記②に続きます。

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