熱中症じゃなくて心筋梗塞!?健康に自信のある人ほど注意が必要

胸を両手で押さえている人

母は50代半ばで心筋梗塞と診断を受け、手術をしました。

凸なべは当時、新卒で1年間勤めた循環器病棟の看護師を辞め数ヶ月たったころ。循環器病棟では多くの心臓疾患の患者さんの看護をしていましたし、心筋梗塞の方も何人もいらっしゃいました。
心筋梗塞に関する症状はよく目にしていたにも関わらず、母から体調が悪いと連絡をもらったときには、主な症状が心筋梗塞には直結しないように思え、全く気づくことができませんでした。

 

凸なべ
ども!父母ともに心筋梗塞でバイパス手術を受けている、心筋梗塞のサラブレッド凸なべです。

 

一見では心臓の病気とは直結しないような症状でも心筋梗塞の可能性も疑って、早めの病院受診が必要な場合もあります。母の発症時の症状から、見逃さないでほしい症状について書いていきたいと思います。

スポンサーリンク

胸痛だけでなく、こんな症状にも注意が必要

母が心筋梗塞になったときに訴えた症状は、

  • 一瞬の意識消失(一時的に気を失って倒れる)
  • 吐き気・嘔吐、食欲不振などの胃症状
  • 発熱(37℃台の微熱)
  • 左手の小指にピリピリとした痛み
  • 長い時間歩くことが困難になる(10分程度歩くと足に痛みが出て、数分休むと治るを繰り返す)

といった感じ。夏だったこともあり軽い熱中症かと思いました。

健康診断を受けていない人は特に注意が必要

無症候性心筋虚血とは、自覚症状がないまま心筋虚血が経過する状態を指します。心筋虚血は、狭心症や心筋梗塞と同様で、動脈硬化により冠動脈の血管が狭くなり(あるいは完全に詰まり)、心臓が活動するのに必要な血液が十分に供給されなくなることで起こります。

高齢者や糖尿病患者の場合は、痛みを感じる神経の障害が原因で自覚症状を感じないことがあります。そのため、心筋虚血が起こっていても症状を自覚できず無症候性心筋虚血とよばれる状態となります。

出典:Medical Note 無症候性心筋虚血

母は結婚後、父とともに自営業をしておりました。自営業を辞めた後はパートなどで働いてはいましたが、健康診断があるような会社には勤めていなかったことと、基本的に健康であったことから病院知らずで、血液検査などもずっと受けていない状態でした。

血圧だけは家で測っていたので、ちょっと高めだなと思っていましたが、知らないうちに糖尿病も患っていました。

無症候性心筋虚血を発見するためには、男性では40歳を過ぎて、生活習慣病の危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満など)が2つ以上あれば、専門病院で心血管病の検査を受けましょう。女性の場合は50歳を過ぎて、同様の危険因子が2つ以上あれば検査が必要です。

出典:症状のない虚血性心疾患は少なくない|ハートニュース|心日本心臓財団

この指標からいくと、母は発病当時50代半ば高血圧、高脂血症、糖尿病、軽度肥満。そして、本人こそ喫煙はしていませんでしたが、むかしは分煙という考えも浸透していず、副流煙に曝されている期間も長かった状態。

凸なべ
もはや、コンプリートじゃないですか!!

倒れて病院へ、最初の診断名は「多発性筋炎」?

母からのSOSが来たのは、ある夏の平日ひるどき。
無職だった凸なべは、家でのんびりと過ごしていました。すると、パートに行っている母から突然の電話。

母『なんか倒れちゃったみたいで。悪いけど迎えに来てくれる?』

凸なべ
は!?倒れた!?倒れたのに病院じゃなくて職場にいるの??

何事かと思い急いで母の職場へ。
とりあえず、話を聞いたところ『一瞬意識がなくなったけど、すぐに気が付いた』と。病院には明日行くと言ってきかないので、とりあえずタクシーで自宅へ。

帰宅後の症状は、吐き気と嘔吐が2回ほど。微熱(37℃台)、倦怠感。
母の職場は工場で、工場内はなかなかの暑さのようなので、軽い熱中症かと思われました。嘔吐もありましたが、長くは続かず症状も落ち着いていたのと、「今日は疲れたから病院は明日行く!」というところは絶対に譲らない。変なところで超頑固!!

とりあえず、アイスノンなどで身体を冷やしつつ、水分をこまめに取って一晩様子を見ることに。

 

翌日になると、症状はさらに改善していたようで「休んでれば治るから、病院行きたくない」と言い出した母を、半ば無理やり病院へ。

もろもろ検査を終え、下された診断結果は『多発性筋炎』

多発性筋炎とは?

筋肉の炎症を主徴とするリウマチ性疾患の一種。原因は不明であるが,自己免疫またはウイルス感染が考えられている。症状としては,筋肉の萎縮と筋力低下,皮膚紅斑,レイノー現象,発熱,関節炎などが生じる。

出典:多発性筋炎(たはつせいきんえん)とは – コトバンク

主に腕、太もも、頸部などの筋肉に炎症が起き、炎症を起こした部分に筋力低下を来す疾患で、難病に指定されています。治療は主にステロイド剤の投与。

凸なべは一応看護師でしたが、1年勤務した病院も循環器系の病院だったため、多発性筋炎という疾患についての予備知識は一切なし!
『そんなに急ぐ必要はないが、入院して治療が必要になる』『入院はココではなく系列の違う病院になる』というお話でした。

検査結果が類似?実際は心筋梗塞

多発性筋炎と診断した決め手は血液検査。「筋肉の中にある酵素(血清筋源性酵素)であるCPKやLDH、AST、ALTの数値が高く、炎症反応であるCRP値も高いため」ということでした。そして、ここ数ヶ月くらい10分くらい歩くと、足がだるくなって少し休まないと歩けないという症状があったことから間違いないでしょう、と。

筋肉の中にある酵素(血清筋源性酵素)は、筋肉の組織が炎症によって破壊されると、血液中に流れ出してくるため、血液検査で高値を示します。

 

この検査結果を聞いたときに、凸なべの中にある疑問が生まれました。曲がりなりにも循環器病棟の看護師として1年働いた、凸なべの知識をフル稼働して導き出された疑問。それは、『心筋梗塞ということはないのか?』という疑問でした。

心筋梗塞も心臓の筋肉が破壊されるため、同じく血清筋源性酵素が上昇し、心臓の動きが悪くなるため特に末梢への血流が減り、足のだるさなどの症状が出る場合があるためです。職場で気を失ったことも気がかりでした。

 

嫌がられそうと思いながらも、担当医師にそれとなく聞いてみました。
医師は、心電図上で異常もみられず、胸痛や動悸などの胸部症状もないため、心筋梗塞ではないでしょう、と。
確かに職場から帰ってきてからも嘔吐はありましたが、胸の症状を訴えることはありませんでした。

結局、多発性筋炎ということで入院して治療することに。同じ系列病院ではありますが別場所になるため、詳しい入院日は後日連絡をくれるということになり、入院までは自宅でなるべく安静にしているように、とお達しを受けました。

 

病院からの入院連絡を待ちながら、自宅療養すること1週間。病院からの電話で思わぬことを言われます。
入院先の病院で母の主治医になるハズだった医師から『心筋梗塞の疑いがありますので、早急に、今日か明日にでも入院してください。』との連絡が。

凸なべ
……、えっ??

どうやら、心筋梗塞だったようです。

 

心筋梗塞の中でも下壁と呼ばれる、心臓の下の方の病変だった場合、胸部症状に乏しく、代わりに近くにある胃の症状として吐き気や嘔吐の症状がみられることがあります。また、倒れてから検査を受けるまで1日程度過ぎていたため、心電図上の異常波形などは消失した後だった模様。

こういった場合、最初に受けた診断のように心筋梗塞ではなく、検査結果が似通った診断になってしまうこともあります。症状が出たとき、今回の場合は倒れたときに即受診して検査していれば、診断も容易だったかもしれません。

 

その後、無事入院し手術。今も元気に過ごしています!

ヘタしたら、凸なべよりも元気かも笑

まとめ

心筋梗塞と聞くと、テレビなどでよく見る胸を押さえて苦しんでる姿を思い浮かべると思います。

ですが、色々な要因が重なると心筋梗塞と思われるような症状ではなく、気づかない場合もあるということです。
特に普段から病院に行くという習慣がない人、健康診断などを何年も受けていない人は要注意!知らぬ間に糖尿病や高血圧、高脂血症などになっていて、心筋梗塞のリスクが高まっているにも関わらず、まったく気づくこともないという危険な状態に陥る可能性があります。

ちなみに凸なべ母は、心臓の手術のための術前検査で乳がんも発見されました!
立て続けに病気が発覚し、家族全員でガッツリ凹みました。ですが、乳がんについても本人はまったく気づいていなかったので、倒れて病院に行くキッカケが出来たことで、手遅れになる前に乳がんも発見できました。ある意味では幸運だったのかな、と思います。

凸なべ
検査大事ですね。年齢を重ねるごとに、病気のリスクは高まっていきます。自分は大丈夫、健康だけが取り柄などと過信せず健康診断は受けましょう!
スポンサーリンク